海王星はトランスサタニアン天体であるにも関わらず、トランシットの影響力は比較的ソフトであると考えられがちです。#59092;
冥王星の破壊、天王星の変革といったような猛威を奮う急激な環境異変は請け負っていないためですが、入室しているハウスの意味にも、パーソナルプラネットやASC、MCに掛ると天体の意味にも、しっかりと影響を与えます。
しかしマヒやボケといった意味のある海王星は、その影響さえハッキリと自覚させません。

回りに靄が立ち込めた状態で、自分で自分のしている事が分からなくなる。
外から見てもまるでベールに覆われたようで、自分の事をなかなか人に理解してもらいにくい、といった状態を作り出します。

良い方に出れば理想を掲げ人に夢や希望を与えられるのに、悪く出れば詐欺や騙し、不正といったように出ます。これは結果犯罪といったことにも繋がります。
天王星と火星が絡むのはシャープに覚醒された分確信犯的な犯行になりますが、海王星の場合は気が付いたらそうなっていた、というような犯罪のパターンが多いのではないかと思います。

今回起こった大学入試不正事件は、まさに海王星が悪く働いた典型なのかも知れません。

周囲の人も容疑者の不正を見つけにくい。本人も自分のしている事が犯罪だという事実を客観視しにくい。
この容疑者のチャートを観た訳ではありませんが、海王星が悪く出た時の犯罪に近いと感じました。

私もASCに海王星が乗っていた時は、後から考えると良くまああんなことができたなあと、驚くような事をしていた事に気付きましたし(もちろん犯罪ではありませんよ!)それはアスペクトが大分離れてから気が付くといった感じでした。

金星や火星など恋愛に関係した天体に海王星が凶角で関わる場合は、相手の真実を見えなくしてしまい理想の相手として入れあげたり、不倫と気付かないで後から騙されていたと分かるようなパターンもよくあると思います。

その時は靄に包まれたように分からないのですが、それはやはり海王星の影響にすっぽり入っている渦中なので見えなくなってしまっているのです。
しかし良く働いた場合には直感が冴え、見えないものが見えたり感じられる力も強まるため相手の本性を見抜く事も出来ると思います。

以前、海王星が10天体の中で一番影響が大きい天体として位置付けている文章を目にした事があります。
確かに海王星は、楕円形軌道の冥王星より外側へ運行している事もありますし、数年前、冥王星は惑星ではないとも定義付けられました。すると海王星が太陽系の一番外側の天体と言った見方もできます。
何より海王星は12ハウスの一番最後、何事も溶解し無に帰してしまう場所を支配する天体です。

考え方によっては目に見える大打撃や変革よりも、正体も見えず自覚のないまま真綿で首を絞められるような海王星の作用の方が恐ろしいのかも知れません。#59093;

ホルスト 惑星組曲 <海王星 神秘の神>