土星が蠍座入りをして1年以上経過しましたが、人間関係によってストレスを抱えている人が多い印象です。
フェアで外面的な対人関係の天秤座土星の頃よりも、表から見えにくく公に話しにくい、軽い関係では得られない情念が絡んだ様な人間関係のお悩みです。

ある方は、失恋した相手への辛い嫉妬心で精神安定剤に頼る日々。同じ職場なので性質が悪いです。
声を聞いただけで動悸がする叶わぬ恋の相手と、これ以上顔を付き合わせたくないため、退職まで考えておられます。
恋愛で辞めるなんで馬鹿らしいと思っているのに、このままずっと嫉妬を続けてストレスを溜めて過ごす事に耐えられないと思われているのです。
また追い打ちをかける様に、職場には可愛くて愛想の良い同じ年の女性が表れ、自分の居場所を奪われた様にも感じています。
周囲が彼女にちやほやするのを見るのが辛い。
彼女は何も悪くはないのに、無意味な嫉妬、焦燥感に捉われ、自分の醜い面を付き合わせられ、苦しんでおられます。

蠍座の土星は、厄介な嫉妬心、執着心、裏切られる事への恐怖、人と深く関わる事への抵抗、やっかみ、そねみ、に関係します。
暗くてじめじめした洞窟、闇の世界を表す蠍座、ここに土星のマイナスの面がシフトすれば、普段は表れてこない様な負の感情をかき立てられてもおかしくはありません。
自分の、または相手の心の奥底の、暗い感情を引き出してしまう事があるでしょう。

自分を相手の中で変容させようとする蠍座は、人との関係によって自分を成長させるので、自他を分けて考えるのが苦手な傾向持ちます。
人と比べ、ちょっとした事で優越感に浸ったり、または絶望感に捉われるなど、些細な感情に振り回される事があります。
そうしたって何のメリットもない事が頭では分かっているのに、つい比べてしまうのです。

7、8室にハードなアスペクトの天体を持ち、ここにT土星が通過する方、蠍座冥王星世代の方など蠍座に天体を持つ方のお悩みは大変なものです。
人間関係による自己試練の時。
みじめな気分になり自分に自信が持てない、虚しい嫉妬で悶々としやすい。
相手に対して疑い深くなったり、変な執着を生みやすい。
人間関係で、なかなか前向きな感情を生みにくい時期だと思います。
時には、天がまるで試しているかの様に、もう無理、止めてしまいたいと思う位、苦しい時期を迎えている方もいるでしょう。
また嫉妬する方ばかりでなく相手にその役割をさせ、自分が言われのないやっかみを受け、とても嫌な思いをしている方もいます。
パートナーの借金など負の部分を否が応でも分かち合わざる得なくなって、重い気持ちで過ごす人もいます。
関係にがんじがらめになり、自由が奪われると言った状況も。
不動宮にT字アスペクトを持つ方など、見動きが取れなくてさらに苦しいと言った状況になりやすいです。

蠍座の土星は、逃げも隠れもできません。
嘘やごまかしをせず、正攻法で真正面から向き合い立ち向かう他はないのです。
さらっと受け流す事が出来ない。
そのために、自分や相手が壊れそうになるような事もあるでしょう。
その結果、新しい自分の再生と言う風に繋がるのですが。。
しかし、そこで我慢が出来ない場合は、自分の限度を知って逃げる事ももちろん一つの正しい選択だと思います。
大切なのは、そこから何を学ぶかです。

T土星がN冥王星と合する場合など、蠍座、冥王星の影響が強く出ると、深く入り込み過ぎて周りが見えなくなりやすいです。
心の中でも、了見が狭くなる。偏見を持ちやすい。
どうしようもない世の中のルールや規則、起こってしまった事に対していつまでも怒りを感じやすい。
自分だけ不当な境遇にあるのではないか、などど被害者的意識を持ちやすくなる、といった弊害が出ます。
自分の成功が他人によって妨げられた、といった感じ方もしやすいです。
その結果、さらに困難な状況に一人耐える境遇に置かれやすくなるとも言えるのです。
まず、自分だけが不幸であるという意識を捨てる事です。
相手が思う通りにならない、それはなぜでしょう。
それは自分のエゴがそう願っているだけであるという可能性もあります。
自分の都合かどうか、振り返ってみましょう。

この時期は利己的な考えに走りがちですが捨て去り、執念は自己修練に振り向けて使うべきでしょう。
これからの自分の仕事や生活など、様々な場面で、もっと大きな事を扱えるようになるための訓練です。
土星の洗礼を受けると、矮小な自我やプライドは剥奪されます。
かといって、卑屈にもなりやすいので注意すべき所です。
蠍座は変容、土星なので苦しみが伴いますが、人間として器を大きくするために乗り越えなければならない試練とも言えるでしょう。

蠍座土星は、魚座の海王星とトライン関係。
どんな境遇に置かれたとしても、ありのままを受け入れ自分を、相手を許す事、それさえも乗り越えた先には、きっと心の平安が待っています。
また、良い方へ表れる人ももちろんいます。
パートナーとの安定した関係を築く事ができ、一緒に問題を乗り越える事で一層絆も深まるでしょう。

この時期の心の持ち方とすれば、
人と比べ気にし過ぎている自分、人を羨んでいる自分を冷静に付き放してみてみる。
物事は客観的に、俯瞰的に見た上で納得し行動する。
自分にも相手にも肩入れせず、フラットなものの見方をする。
今ある一瞬一瞬に心を動かされず、この現状はいつまでも続くものではないと考え、長期的に物事を考えられるようにする。

見方を変える努力し過ごせれば、この配置に対しての免疫が出来ます。
次に土星がアスペクトを取ってきても、現在の様な心境、状況にはならないはずです。
土星の与える試練は、天が与えた学びの時期、考え方一つで実りの多い時期になるとも言えるのです。




※今年の鑑定の受け付けは締め切らせて頂きました。