ウォルター・クレインの描いた「ネプチューンの馬」

ギリシャ神話のネプチューン(英語読み)は、様々な海の生き物や大型の動物を作った神としても知られています。
本妻のアンビトリデの愛を得るためにイルカを、また愛人の一人である豊饒の女神デメテルには馬を作ってプレゼントしました。
どちらの女神も、荒々しく追いかけ回すネプチューンに恐れをなし逃げ回りましたが、海の神は誠意を見せようと頑張りました。
サンゴや真珠などでは首を縦に振らなかったアンビトリデは、歌って踊れるかわいいイルカを大変気に入り、それまで嫌っていたネプチューンと結婚する事にしたそうです。
またデメテルもしつこく求愛してくるネプチューンに、最も美しい陸上の生物を要求ましたが、カバ、キリン、ラクダ、シマウマなどの様々な試作品を経て苦労した末、ついに馬を作りだしました。
馬は海の神の創造物として、最も傑作な最高の作品です。
始め彼の求愛を拒んでいたデメテルも、この美しい生き物を見て喜び、すっかり考えが変わったのです。

ネプチューンは波のように気が移ろいやすい神です。
気の向くままにタコ、イカ、クラゲなど、次々と奇妙な海の生き物達を作ってきましたが、こういったいきさつで馬を作ったのですね。
不思議な姿をした海の生き物は、インスピレーション豊かで時に怪物のようにも見えて、創造主であるネプチューンのユニークさと大らかさが現われている生き物達と言えます。
ネプチューンは厳しく恐ろしいだけでなく優しさも合わせ持った神です。
海のニンフ達を喜ばせるために、ユニークなタコやフグ、イソギンチャクなど作ったのだそうです。

イルカも馬も、ネプチューンにとってまさに恋のキューピット。
ギリシャ神話ではネプチューンは馬の守護神と称され、海王星は馬など大型の生き物を管轄します。
ネプチューンの馬とは海の白い波頭の事を言うのだそうです。
ウォルター・クレインの描いたネプチューンの馬は、逆巻く白波が白馬に変容するという、躍動感があふれる作品となっています。
津波を思わせるような荒々しい波頭が白馬に姿を変え、御者ネプチューンが果敢に御している勇猛な姿を描いています。




よく見ると、馬の蹄に水かきが・・・・
これはシーホースという半漁馬でしょうか。





宮古島で見た「ネプチューンの馬」
写真に収めると迫力に欠けますが、台風が近いこともあって荒れた海の白波がまさに疾走する白馬のように感じました。ドドド!!!力強い波の音は、走ってくる馬の地響きにも似て、波の様子は美しくもあり迫力もあり、見とれる程でした。