シャルル・トレネー(1913年~2001年)

シャンソンは、人生の悲しみや喜び、愛の情景を歌い上げるといった歌が多く、中には少々重たいイメージの歌もありますが、軽やかなリズム、美しいメロディや優しいフランス語の響きにうっとりするもの多く、ままみは癒しをもらっています。

南フランスに生まれたシャルル・トレネーは、シャンソンにジャズのメロディを取り入れ、大戦前から沢山の明るい曲を生み出した、シャンソンの父とも呼ぶべき作曲家です。
特に有名な、「ラ・メール」などは全世界に広まり、アメリカでも恋の歌として「ビヨンド・ザ・シー」の歌詞をつけて、多くの歌手がカバーしています。

優しく温かな歌声で、軽やかな曲のみならず、深みのある曲やセンチメンタルな曲など幅広く歌い続けたトレネーは、素晴らしい詩人でもあり、偉大なエンテーティナーであった事と思います。


ラ・メールはフランス語で「海」ですが、人が人生を想う時、その雄大な風景から、憧れや神秘性、永遠性、詩情を感じるのは、多くの人が共感する所でしょう。




澄んだ入り江に沿って踊っている 金色の煌き


煌きを変る 雨の下


夏空に浮かぶ 白い羊

純粋な天使のような 青い海は羊飼い
いつまでも 見てごらん
岸辺の水溜りの 背の高い湿った葦を 見てごらん
白い鳥と 朽ち果てた家を


揺らしておくれ 澄んだ入り江に 愛の歌のように


揺らしておくれ 私の生きる心を


「ブン」という言葉は心臓の鼓動を表しており、舞台で踊り歌うトレネーのパフォーマンスを観て、ジャン・コクトーは「歌う道化師」という敬称を贈ったという話があります。




振り子時計は鳴る、チク、タク、チク、チク
湖の鳥たちは歌う、ピク、パク、ピク、ピク
グル、グル、グルと鳴くのは七面鳥諸君
きれいな鐘は鳴る、ディン、ダン、ドン

けれど、ブン!
僕等の心がブンと言うとき
何もかもいっしょにブンと言う
そして、愛がめざめる

ブン!
みんながブリング、ブルングと歌う
このブンのリズムに合わせて
耳のそばで、ブンとくりかえす

昨日から、すっかりみんな変わってしまった
そして街には窓の方を眺めている眼がある
リラの花が咲き、手をさしだしている
海の上には、太陽が昇ろうとしている

ブン!
お日様がブンと言う
何もかもいっしょにブンと言う
僕等の心が鳴るときには、ブン・・・ブン・・・、と

森の風は鳴る、ウーウと
行き場に困った牝鹿は鳴く、メーエと
こわれたお皿は音を立てる、フリック、フリック、フリック
ぬれた足の音はブリック、ブリック、ブラック

けれど、ブン!
僕等の心がブンと言うとき
何もかもいっしょにブンと言う
鳥もブンと鳴く 夕立だ・・・ブルル・・・

ブン!
稲妻が走るとブンと言う
そして神様もブンと言う
雲の椅子に腰かけて
だって、僕の恋は稲妻より激しく
鳥よりも、ツバチよりも軽いんだ
だから、ブンと言うときカッカとなったときは
まわりに奇跡をまきおこす

ブン!
世界中がブンと言う
何もかもいっしょにブンと言う
僕等の心が鳴るときには、ブン・・・ブン・・・、と

ブン!
世界中がブンと言う
何もかもいっしょにブンと言う
僕等の心がブンと鳴るときは
ブン・・・ブンとしか聴こえない
いつだって鳴るんだ・・・ブン・・・ブン・・・ブン・・・






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